合気道の膝行

合気道の膝行

合気道には座技があります。特に入会間もない初心者が座技を長くやると、膝行で膝の皮がむけそうになったりひどい場合は剥けてしまったりします。侍の時代は殿様の前で立つことが許されない環境で座ったまま膝行で異動する必要があったのでしょうが、今は冠婚葬祭でも正座をする機会はほとんどありません。武道でもやらない限りは正座することはありません。四街道合気会では毎回準備体操後に膝行を行います。人によってはバレーボール用のサポーターをしている人もいますが、それでも膝行・座技を稽古するのはなかなか厳しいですよね。膝に痛みがあるなどの場合は無理をせず立技で稽古するようにしています。

 

約39年前、私が大学の合気道部1年生だった頃は膝行・座技で膝の皮が剥けることは当たり前で、特に1年生最初の夏合宿では初日から膝の皮がむけてしまい、ヨードチンキで消毒をしてはいましたが合宿期間中は座技を繰り返し、1週間の合宿が終わり帰宅した時には菌が入ってしまったのか膝を曲げるのも苦労するくらい足が膨れてしまいました。2年生になってからは普段の稽古で皮がむけることもなくなりましたがそれでも合宿で座技を集中的にやると剥けてしまうこともありました。

 

合気道部では月曜から土曜まで毎日2時間の稽古のうち前半の1時間は基礎トレを行い、後半の1時間が技の稽古でした。当時下半身を鍛えると言えばうさぎ跳びでした。基礎トレで散々うさぎ跳び、アヒル(しゃがんで足首を掴んで歩く)やスクワットなどをやった後に座技をやると地獄でした。ずいぶん膝に悪いことをしたものです。今うさぎ跳びをやることはないですよね。

 

膝行は腰の力をつけるといいます。私は膝行で股関節周りの筋肉を鍛えられるのだと思っています。立技では股関節・膝・足首の可動域によって骨盤を前後左右に動かせるので自分の中心軸を左右の足(股関節)の軸に容易に移動ができます。上半身の動きが悪くても下半身の動きでカバーできてしまいます。しかし、座技では足を折りたたんだ踵の上にお尻があるので骨盤の位置(自分の中心軸)を容易に移動させることができず下半身の動きが制約されてしまうので、上半身の動きの正確さが求められます。片手取り四方投げは立技ではなんとかできても半身半立では難しいです。座技で股関節周りの筋肉を鍛えることは、立技で股関節を中心とした安定した軸に繋がるのだと思います。

 

敬遠しがちな膝行ですが、普段から膝行の前後進だけでなく転回や転換など自由に動けるようになれるよう稽古していきたいと思います。。

 

 

 

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四街道合気会 木刀素振り-2

四街道合気会 木刀素振り-2

 

木刀の素振りについて前回は握り方について思うところを書いてみました。今回は振り方について書いてみたいと思います。

 

まず構えから頭上に振りかぶるのですが、どこまで振りかぶるのかはいろいろありますよね。正面打ちの場合、剣先が頭上45度くらい後方か床と平行くらいが多いのではないかと思います。NHKの大河ドラマ西郷どん」で薩摩藩士が素振りをしている映像では木刀を頭の真上に立てるように振りかぶり気合とともに振り下ろしておりました。

 

私自身は現在床と平行になるくらい振りかぶっておりますが、素振りをしていて刃筋がブレないように振るのは意外に難しく感じます。強く速く振ろうとしてちょっとでも力んでしまうとブレてしまいますし、握りの左右力のバランスが崩れてもブレてしまいます。また、四方斬りで後ろ向きに転換して振る場合は、剣先は背中の後ろから振るようになりさらに立ち方も逆になったり、身体の中心軸がブレてしまったりなどいろいろな要因が重なってしまうので刃筋がブレれないように振るのは何年たっても難しいです。

 

岩間合気道の斉藤守弘先生のDVDでは剣先が腰の後ろにつくくらい振りかぶっております。1kg以上ある真剣の場合そこまで振りかぶると重さで身体が後方に崩れてしまうのではないかと思ってしまいますが、石堂倭文先生は『道理を愉しむ居合道講座 全日本剣道連盟居合編』(スキージャーナル 2014年 P18)で「最近の居合道では、振りかぶった刀は、後方で切先を水平より下に下げてはならない、という〝常識〟がまかり通っています。以前、無双直伝英信流のある先生は「背中につくほど振りかぶって切れ!」と指導されていました。大きく振ることが、体の動き、手の内を知るひとつの稽古法だったからです。」とお書きになっておられます。

 

また、長野峻也先生は『剣に学ぶ武術の奥義』(アスペクト 2016年 P11)で「マキワラは、刃筋が真っすぐ徹らないと斬れません。いろんな人に試し斬りをやらせてみると、空手経験者が一番下手でした。素人のほうが素直に振って、スパッと斬れたりします。理由は明白です。長年の空手修行の癖で、斬る瞬間に腕の筋肉を締めてしまうからです。こうすると、体幹部の重心移動が腕でストップしてしまい、刃に威力が乗らない上に刃筋もブレてしまい、斬れなくなります。剣道経験者も失敗する人が多いのですが、これは斜めに斬る技を練習していないのと、日本刀で斬るのではなく竹刀で打つ練習をしているので、「(竹刀は)雑巾を絞るように打て」と教わっていると、結果的に腕の筋肉を締めてしまい、刃筋をブレさせてしまうのです。刃筋がブレると重心力が集中せず、力が無駄に消費されてしまいます。」とお書きになっておられます。

 

大きく振ることによって、下半身・上半身を繋げて身体を一つにし、剣を手の内で正確に扱えるようになり、手の内の感覚があれば大きな振りかぶりであろうが小さな振りかぶりであろうが刃筋がブレずに正確に斬れるようになるのだと思います。(体術でも同じことがいえると思います。)

 

いろいろな振り方をしてみないとわからないことがたくさんあると思います。癖がついてしまっているかもしれない私などは最もダメかもしれませんが、試し斬りを経験できるところがあると思いますので、是非一度トライしてみたいと思います。

 

 

 

☆引用させていただいた部分の解釈は私の解釈です。著者本来の意味する内容と異なる場合はご容赦ください。

☆本稿の内容は個人の見解です。所属団体の公式ブログではありません。

 

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木刀の握りについて

木刀の握りについて

 

今回は木刀の握り方について、現在の私の考えていることを書いてみたいと思います。

 

握り方にしてもいろいろな握り方がありますよね。大学合気道部の時に先輩からは柄の一番端に薬指、小指は絵を握らずに内側面が柄頭に当てて突きの時にストッパーの役をするようにと教わりました。学生時代は左手の掌(小指下の膨らんだ部分)が柄頭に当たってこすれ、豆ができたり皮が剥けてしまったりしました。

 

私が素振りをするようになった時は師範から教えて頂いた、小指・薬指・中指を中心に卵を包み込むように柔らかく握ることを心掛けておりましたが、頭の中と現実は異なり前回書いたように筋肉痛になったりしました。今は右手・左手ともに小指・薬指・中指で握り、人差し指と親指は伸ばして握らないようにしています。赤羽根龍夫先生の著書『古武術仙骨操法」のススメ』(2016年 BABジャパン P74)で説明されている柳生新陰流の「龍の口」の形で人差し指と親指を伸ばしたようにしています。

 

素振りの時は指で握るというよりも指は柄に掛けるのみで、掌(小指側と親指の母指付け根の膨らんだ部分)で柄を包み込むように握る感じです。ですから指で握るというよりも掌で握る感じです。握る角度は構えた時に切先が相手ののど元に向くようにしています。

 

そして振り下ろした時は、雑巾をしぼるようにとよく言われますが、私は絞るというよりも腰の高さで止めた時に木刀の先端が落下しようとする反動で逆に上に行こうとする柄を掌底(手根骨)部分で受け止めて・その力を腕だけで受け止めるのではなく腕・胴を通して最終的には下丹田で受け止めることを心掛けています。上半身と下半身を繋げて身体を一つにする感じです。

 

前回のブログで野球素振り用の鉄バットを振っていると書きました。これは長さ84cmの丸棒で、グリップ部分の太さは9分径の杖と同じくらいの27mm、半分先が一回り太くなっています。バットの重心は手元の方ではなく先の方にありますので、このバットで素振りをするとグリップ部分への反動が強く、より丹田で受け止める感覚がでると思っております。また、握る角度が合わないと手首を痛めるのでその意味でもバットの素振りは役に立っているのではないかと思います。

 

ところで、右手と左手の間隔は、私が素振りをするようになった当初は指3~4本分入る程度離しておりましたが、今は1~2本くらいに間隔が狭まってきております。今年6月に甲野善紀先生『武道から武術へ』(学研マーケティング 2011年)を読みましたが、その中に「両手を寄せた持ち方」(同P43)があり「江戸時代以前は、大部分の武士は刀の柄を持つ時、両手を話して持っていたとは考えられない」(同P46)そうです。甲野善紀先生は「左右の手を寄せて刀の柄を握り、自在に使えるようにするには、」「猫背とまでは言いませんが」「伝統的な日本人の姿勢にならざるを得ない」と書かれておられます。ということは両手の間隔が狭くなってきた私の姿勢は伝統的な日本人の姿勢に近づいているのでしょうか?

 

いづれにせよ、素振りが体術に活かせるようにしていきたいと思います。

 

 

 

☆引用させていただいた部分の解釈は私の解釈です。著者本来の意味する内容と異なる場合はご容赦ください。

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合気道と木刀の素振り

合気道と木刀の素振り

前回、剣の素振りは繰り返し振っていれば自然にそれなりになってくると書きましたが、今回からは木刀素振りについての私の思うところを書きたいと思います。

まず今回は木刀素振りの目的についてです。

 

合気道の稽古時間は体術が中心となり、そもそも木刀に触ること自体あまりないですよね。私も大学合気道部時代には週6日稽古がありましたが、それでも木刀を振る稽古は1年のうち数日があった程度で、あとは合宿の時にまとめて振って手に豆をつくったことを記憶しております。四街道合気会でも普段は体術の稽古が中心で、体術稽古での正面打ちや横面打ちの打ち方を理解してもらうために木刀の素振りをする程度で、武器の稽古はあまりありません。振りたい人は稽古後の自由練習で素振りをするという程度です。

 

私が木刀を振らなければと思ったのは参段を頂くころだったと思います。合気道の技は剣の理合で成り立っていることを聞き、合気道が上達するためにはとにかく木刀を振ったほうがいいと自分なりに思ったからです。その頃は大学合気道部で先輩に教えていただいた振り方と四街道合気会の師範から教えていただいた振り方を基に、稽古後の自由練習の時や自宅で風呂に入る前に振っておりました。また実際の真剣は1kg以上あると聞いていたので、家にあった重さ1.7kgの野球素振り用鉄バットもちょうどいいと思い振ったりしました。

 

それまでは素振りをした経験があったとはいえ、木刀で空気を切る音がするように振るものだと思っていたのでかなり右手に力が入っていたのだと思います。1カ月もしないうちに右前腕の筋肉痛となってしまいました。それでも痛みを我慢して振り続けていると今度は左手首も痛くなってしまいました。痛みに耐えながらも握り方、握りの角度や力加減等々をいろいろ変えながら振り続けているうち、手首の痛みは出なくなったのですが、右前腕の筋肉痛は結局2年くらい続いてしまいました。痛みが引いたからいいようなものの今思うと無茶をしたと思います。痛みがでた時点で中止すべきだったと反省しております。

 

このように木刀素振を続けてはいたのですが、素振りによってどのように合気道が上達するのかという点については具体的なものがあったわけではなく振っていれば何か得るものがあるだろうくらいに漠然と振り続けていました。しかしながら今から5~6年前ですが、体術の稽古では合気道は腕を身体正面の中心線上に位置させることによってそこに身体の力を集中して技をかけることが大切なのではないかと思うようになりましたが、数年前に偶然見た須一和晃先生のDVD『必ず掛かる!柔らかな合気』(BABジャパン)で一教運動についてのお話をされている中に、須一先生がご師事された先生から「須一君、合気道はね(映像で一教運動の腕の動きをしながら)この変化だ。」「先生これをうまく強くするにはどうすればいいんですかって聞いたら、木刀の素振りをしなさい」と言われたそうです。さらに、今年読んだ本ですが世界梁山泊空手道連合総師 富樫宣弘先生の『柔らかい空手』(2020年BABジャパン27頁)で、「縦拳は肘が下を向くため、構造的に前後方向に、左右方向にブレにくくなる」「刀を握って構えると、力まない限りは自然に肘が下に向く。全身の力も中心方向にまとまる」「縦拳は刀を握って正眼に構えた姿に類似し、それ自体に構造的は強さをはらんでいる」という説明があります。自分が思ったことは間違いではなかったのだなと安心しました。

 

今現在私が考えている木刀素振りによって得られるものは次のとおりです。

  • 腕を肩甲骨から振るようになる
  • 腕を肘が床を向くようにすることにより脇が締まるのと同時に肩が下がって肩甲骨が開くようになる
  • 骨盤(仙骨)を立てることによって上半身と下半身を繋げて全身を一つにする
  • 掌(てのうち)から体幹の力を伝えられるようになる

 

ところで、プロゴルファーは逆側の素振りをしても遜色がないほど左右対称の美しいスイングをします。剣は右手が前(鍔側)、左手が後(柄頭の手前)で握り逆は無いといいます。ただ体術は左右同様に技をかけますので素振りも左右の握りを逆にして両方同様に振った方が左右均等になっていいのではないかと思い、「やらないよりはやってみる」精神で振っているのですが、邪道なのでしょうか?

 

私は未熟者であるが故に少しでも上達したいと日々試行錯誤の連続で、今考えていることが明日変わるかもしれませんが、逆に言えばそうならなければと思っています。まだまだ悩みは尽きません。

 

 

☆引用させていただいた部分の解釈は私の解釈です。著者本来の意味する内容と異なる場合はご容赦ください。

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合気道 杖の稽古

杖の稽古

 

四街道合気会では新型コロナ感染防止のため現在マスク着用の上武器を中心とした非接触稽古を再開しております。再開当初は、四股踏みや舟こぎ運動などの身体の軸を意識した運動、単独動作による入身や転換などの体捌きなどを行っていました。次の段階で木剣素振、今は杖の基本の素振り、13の杖形や31の杖形、杖捌き(投げ)などを中心に稽古しております。杖は斉藤守弘師範が本やDVDで残して下さった技を参考にさせていただきながら稽古しております。

 

四街道合気会での稽古は毎週水・金曜日の週2日、第二・第四日曜日を加えてだいたい月10日なので、普段は体術が中心となります。武器は稽古後の自由稽古で素振りや形を自主的にやる程度ですので、今は集中して稽古できるいい機会となっております。

 

12月昇段級審査を控えているため早く体術の稽古を再開したいと思う反面、子供たちは体術の稽古よりも面白いといっていつも以上に熱心に稽古しています。始めは自分の身長よりも長い杖に振り回されていたのが今では器用に操っているのを見ると、習うより慣れろとはよく言ったものだと感心させられます。(体術もこのくらい熱心に稽古してほしいとも思ってしまいますが。)

 

素振りだけではわからない実際に突いた時、打った時の感覚を身につけてもらおうと思い、重ねたクッション材とダンボールを端材のカーペットで包んで打込み用のミットを作りました。普段は親に連れてこられているので渋々稽古している感が強いのに、私がミットを手にするやいなや真先に杖を持って寄って来きます。子供にとっては遊び感覚なのでしょうね。

 

合気道の先生方は居合に習熟されている方が多くいらっしゃいます。私も多少なりとも居合の形を覚えなければと思い、居合道のいろいろな本やDVDをみたのですが流派によってさまざまでどれを覚えればいいのか迷ってしまいました。「剣のことは剣術の先生にならえ」とおっしゃった師範もいらっしゃると聞きます。結局、合気道の上達には居合の形よりもまず基本的な剣の振りを行うべきだと思い、師範から教えていただいた基本的な剣の振り方をもとに十数年間ほぼ毎日振っております。繰り返していると握り方、握る強さ、両手の位置、両手のバランス、振り方、足の幅......など、自然にそれなりになってくるものです。

 

また、武器は身体の延長と言われておりますが、杖捌き(投げ)では上半身と下半身が一体となって投げる感覚がわかります。体術も満足にできないのに杖は無理だと決めつけては次に進まないと思います。

まだ早いだろうといってやらせないよりは怪我をしないようにしっかり見守りながらとにかくやらせてみることが大切なのだと思いました。誰でも最初からできる人はいないので、まずやってみないことには始まらないですよね。

 

今後も武器の稽古は定期的に行っていきたいと思います

 

 

 

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四街道合気会

 四街道合気会の德丸と申します。

この度、合気道の稽古で思ったこと、感じたことを書こうと思いブログを始めました。

あくまでも私の個人的な見解であり、昨日思ったことが今日変わるということもあるかもしれませんが、その時々で感じたことを次回から書いていきたいと思います。

よろしくお願い致します。

 

 

☆☆☆四街道合気会について☆☆☆

 四街道合気会は公益財団法人合気会の公認道場です。

 稽古日時:毎週水・金曜日 19:00~20:00(~21:00まで自由稽古)

     毎月第2・第4日曜日 14:30~16:00

     大人・子供一緒に稽古しております。

稽古場所:四街道市武道館(四街道市中央公園内)

見学歓迎いたします。