合気道と木刀の素振り

合気道と木刀の素振り

前回、剣の素振りは繰り返し振っていれば自然にそれなりになってくると書きましたが、今回からは木刀素振りについての私の思うところを書きたいと思います。

まず今回は木刀素振りの目的についてです。

 

合気道の稽古時間は体術が中心となり、そもそも木刀に触ること自体あまりないですよね。私も大学合気道部時代には週6日稽古がありましたが、それでも木刀を振る稽古は1年のうち数日があった程度で、あとは合宿の時にまとめて振って手に豆をつくったことを記憶しております。四街道合気会でも普段は体術の稽古が中心で、体術稽古での正面打ちや横面打ちの打ち方を理解してもらうために木刀の素振りをする程度で、武器の稽古はあまりありません。振りたい人は稽古後の自由練習で素振りをするという程度です。

 

私が木刀を振らなければと思ったのは参段を頂くころだったと思います。合気道の技は剣の理合で成り立っていることを聞き、合気道が上達するためにはとにかく木刀を振ったほうがいいと自分なりに思ったからです。その頃は大学合気道部で先輩に教えていただいた振り方と四街道合気会の師範から教えていただいた振り方を基に、稽古後の自由練習の時や自宅で風呂に入る前に振っておりました。また実際の真剣は1kg以上あると聞いていたので、家にあった重さ1.7kgの野球素振り用鉄バットもちょうどいいと思い振ったりしました。

 

それまでは素振りをした経験があったとはいえ、木刀で空気を切る音がするように振るものだと思っていたのでかなり右手に力が入っていたのだと思います。1カ月もしないうちに右前腕の筋肉痛となってしまいました。それでも痛みを我慢して振り続けていると今度は左手首も痛くなってしまいました。痛みに耐えながらも握り方、握りの角度や力加減等々をいろいろ変えながら振り続けているうち、手首の痛みは出なくなったのですが、右前腕の筋肉痛は結局2年くらい続いてしまいました。痛みが引いたからいいようなものの今思うと無茶をしたと思います。痛みがでた時点で中止すべきだったと反省しております。

 

このように木刀素振を続けてはいたのですが、素振りによってどのように合気道が上達するのかという点については具体的なものがあったわけではなく振っていれば何か得るものがあるだろうくらいに漠然と振り続けていました。しかしながら今から5~6年前ですが、体術の稽古では合気道は腕を身体正面の中心線上に位置させることによってそこに身体の力を集中して技をかけることが大切なのではないかと思うようになりましたが、数年前に偶然見た須一和晃先生のDVD『必ず掛かる!柔らかな合気』(BABジャパン)で一教運動についてのお話をされている中に、須一先生がご師事された先生から「須一君、合気道はね(映像で一教運動の腕の動きをしながら)この変化だ。」「先生これをうまく強くするにはどうすればいいんですかって聞いたら、木刀の素振りをしなさい」と言われたそうです。さらに、今年読んだ本ですが世界梁山泊空手道連合総師 富樫宣弘先生の『柔らかい空手』(2020年BABジャパン27頁)で、「縦拳は肘が下を向くため、構造的に前後方向に、左右方向にブレにくくなる」「刀を握って構えると、力まない限りは自然に肘が下に向く。全身の力も中心方向にまとまる」「縦拳は刀を握って正眼に構えた姿に類似し、それ自体に構造的は強さをはらんでいる」という説明があります。自分が思ったことは間違いではなかったのだなと安心しました。

 

今現在私が考えている木刀素振りによって得られるものは次のとおりです。

  • 腕を肩甲骨から振るようになる
  • 腕を肘が床を向くようにすることにより脇が締まるのと同時に肩が下がって肩甲骨が開くようになる
  • 骨盤(仙骨)を立てることによって上半身と下半身を繋げて全身を一つにする
  • 掌(てのうち)から体幹の力を伝えられるようになる

 

ところで、プロゴルファーは逆側の素振りをしても遜色がないほど左右対称の美しいスイングをします。剣は右手が前(鍔側)、左手が後(柄頭の手前)で握り逆は無いといいます。ただ体術は左右同様に技をかけますので素振りも左右の握りを逆にして両方同様に振った方が左右均等になっていいのではないかと思い、「やらないよりはやってみる」精神で振っているのですが、邪道なのでしょうか?

 

私は未熟者であるが故に少しでも上達したいと日々試行錯誤の連続で、今考えていることが明日変わるかもしれませんが、逆に言えばそうならなければと思っています。まだまだ悩みは尽きません。

 

 

☆引用させていただいた部分の解釈は私の解釈です。著者本来の意味する内容と異なる場合はご容赦ください。

☆本稿の内容は個人の見解です。所属団体の公式ブログではありません。

 

☆一緒に合気道をしませんか? 見学・体験歓迎いたします。

#四街道合気会

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